企業年金

令和6年の次回財政検証・令和7年の次回公的年金改正に向けて、議論が開始

国民年金・厚生年金保険は、少子高齢化が続いても制度が持続的に維持されるように、
将来世代の年金水準が下がり過ぎないようにするために、
5年ごとに財政検証を行い、必要に応じ必要な見直しを行っていくこととなっています。

令和6年の次回財政検証・令和7年の次回年金改正に向けて、
今後社会保障審議会年金部会等で議論が行われることとなっています。

最近開催された審議会等における資料(抜粋)

参考までに、最近開催された審議会等における資料のうちから、特に重要なものをピックアップ
して下記に記載いたします

■第1回社会保障審議会 年金部会
(2022年10月25日)
・資料2「年金制度の意義・役割とこれまでの経緯等について」(厚生労働省年金局)
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/001004579.pdf
・参考資料2 「社会保障審議会年金部会における議論の整理」(令和元年12月27日 社会保障審議会年金部会)
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/001004582.pdf

■第8回全世代型社会保障構築会議(11月11日)
・資料2 「働き方に中立的な社会保障制度等の構築について」(権丈主査提出資料)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/zensedai_hosyo/dai8/siryou2.pdf

■第19回社会保障審議会 企業年金・個人年金部会
(11月14日)
・資料2 「私的年金制度(企業年金・個人年金)の今後の課題
https://www.mhlw.go.jp/content/10600000/001011934.pdf

今後議論が行われる予定の主な見直し案

公的年金については、主に次のような見直し案について、
議論が行われる予定です。

・国民年金(基礎年金)の保険料納付期間を40年(20歳から59歳まで)から45年(20歳から64歳まで)延長する、
という案。
・賃金・物価の上昇に応じた年度ごとの年金増額改定において、
少子高齢化の伸展を考慮した分だけ増額幅を減額する「マクロ経済スライド」について、
厚生年金保険への適用期間を当初の見込みよりも伸ばす、
という案
・週所定労働時間20時間以上等一定の要件を満たす短時間労働者への健康保険・厚生年金保険の適用拡大を、
従業員数50人以下企業にまで広げる、という案。
・個人事業の飲食店等、業種を問わず従業員数5人未満の個人事業主に雇用される従業員、
といった、現在適用対象外とされている人たちを健康保険・厚生年金保険に加入対象とする、
という案 など

いずれも目新しい案ではなく、以前から出されていたものです。
また、これらの案が決定されたわけでもありません。

しかし、インターネット上等では、それらの案の「負担増」だけに焦点をあてて、
「給付増」につながる面については触れていない批判的な記事がすでに散見されます。

特に、これらの改正案がもし実施されたとしたら、
実施されない場合に比べて「給付増」という恩恵を受けることとなる若い世代の人たちが、
そのような情報を鵜呑みにして年金制度について批判的な誤解をしてしまっているケースがあります。

中には、自分が年金をもらえるときには年金制度が崩壊している筈だから国民年金保険料を払わない、
厚生年金保険の加入手続きを行わない、と考えてしまっている事例もあり、
とても残念でもったいないことだと感じています。

世の中に溢れている雑多な情報から必要な情報を選択するかどうかは基本的には自己責任なので仕方ない、
といえるのかもしれません。

しかし、平均寿命が延び、多くの国民が何歳まで生きるかわからないという長寿リスクがある中、
終身にわたっての所得保障などを提供する国の年金の基本事項について、
誤解しないために最低限必要な情報くらいは、一人でも多くの人に届くようになればよいと願っています。

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