退職金・老後資金積立

つみたてNISA、iDeCo(個人型確定拠出年金)、個人年金で老後資金積立

つみたてNISA

 

つみたてNISAは、少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。

日本に住んでいる20歳以上の人なら利用できます。
つみたてNISAと一般NISAとはどちらか一方を選択しての利用となります(年単位で変更することはできます)。

つみたてNISAの対象商品は、手数料が低水準、頻繁に分配金が支払われないなど、長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)に限定されているため、投資初心者にとっても利用しやすいしくみとなっています。

 

毎年40万円を上限として一定の投資信託が購入できます。

つみたてNISAを保有している間に得た分配金と、値上がりした後に売却して得た利益が、購入した年から20年間、課税されません。

非課税で保有できる投資総額は最大800万円(40万円×20年間)となります。

非課税期間の20年間が終了したときには、NISA口座以外の課税口座(一般口座や特定口座)に払い出されます。

その年の非課税枠の未使用分があっても、翌年以降に繰り越すことはできません。

NISA口座で保有している投資信託が値下がりした後に売却するなどして損失が出ても、他の口座(一般口座や特定口座)で保有している金融商品の配当金や売却によって得た利益との相殺(損益通算)はできません。

 

2020年度税制改正により、口座開設できる期間が5年間(2037年12月31日から2042年12月31日まで)延長されることとなりました。

これにより、2042年中に購入した投資信託についても20年間(2061年まで)非課税で保有することができます

 

つみたてNISAを利用するための手続きは金融機関(ネット証券など)で行います。
NISA口座は1人1口座のみ開設できます(NISA口座内で、一般NISAではなく、つみたてNISAを選びます)。

 

金融商品を購入する際は、商品の特性や取引のしくみ、リスク、手数料等を十分確認するようにしましょう。

 

なお、一般 NISA は、一階で積立投資を行っている場合には二階で別枠の非課税投資を可能とする二階建ての制度に見直した上で、口座開設できる期間を2028年12月31日まで延長されることとなりました(一般NISAが新制度となっても、つみたてNISAとの併用はできません)。

また、ジュニア NISA は、延長せずに 2023 年12月31日で終了・廃止されます。

 

 

個人型確定拠出年金(iDeCo・イデコ)

 

老齢基礎年金の上乗せ給付としては、個人型確定拠出年金(iDeCo)もあります(iDeCoの実施主体は、国民年金基金連合会です)。

 

iDeCoは、掛金を払う際・資産を運用する際・年金をもらう際ともに、所得税・住民税の節税となります(課税所得がある場合)。

自営業・フリーランスなど(国民年金の第1号被保険者)が入る場合、付加保険料または国民年金基金の掛金と合わせて年額816,000円(月額68,000円)の範囲内で、iDeCoの掛金を払って積み立てできます。

加入者が払う掛金(本人分のみ)は、全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となります。

掛金の額は月々5,000円以上1,000円単位で加入者が決めます。

年1回以上、任意に決めた月にまとめて払うこともできます。

掛金の額は年1回変更できます。

契約した金融機関(運営管理機関)が提示する中から自分で選んだ運用商品(定期預金、保険商品、投資信託など)で掛金を運用します。

将来の受け取り額は確定されておらず、払った掛金合計額や運用成績によって変わります。
投資信託などを選んだ場合は、元本を下回る可能性もあります。

 

預金利息や投資信託などで得た収益には一律20%の税金(所得税15%、住民税5パーセント)がかかります(2037年までは復興特別所得税0.315%もかかります)。

しかし、iDeCoによる運用収益は全額非課税です(個人別管理資産には特別法人税1.173%が課税されることとなっています。ただし、特別法人税の課税は凍結が続いています)。

 

老齢給付金は60歳以降、年金または一時金で受け取ります(運営管理機関によっては年金と一時金を組み合わせて受け取る方法も選べます。

年金として受け取る場合は、原則として「5年以上20年以下」の有期年金で受け取れます(金融機関によっては、終身年金として受け取れる商品もあります)。

 

老齢給付金を年金で受け取った場合は雑所得として公的年金等控除の対象となり、一括で受け取った場合は退職所得控除の対象となります。

 

 

iDeCo は60歳未満の国民年金被保険者であれば加入できます(注)。

60歳になるまでは原則として年金資産(払った掛金および運用益)を引き出せません。

60歳から老齢給付金を受け取るには、通算加入者等期間が10年以上必要です。10年に満たない場合は、受給開始年齢が繰り下げられます。

iDeCoは、長期にわたって節税メリットを受けながら老後資金の積み立てをし、運用もしたい人向けの制度です。

 

(注)現在国民年金保険料の免除などを受けている人(障害基礎年金を受けている人などを除きます)や農業者年金に入っている人等は入れません。
法改正により、加入可能年齢の上限が60歳未満から「65歳未満」に引き上げられます(2022年5月から)。
60歳以上65歳未満の人も国民年金に入っていれば(つまり、国民年金に任意加入しているか、厚生年金に入って国民年金第2号被保険者となっていれば)、個人型確定拠出年金(iDeCo)に入れるようになり
ます。
また、受給開始時期の選択範囲も、公的年金の受給開始時期の改正に合わせて、60歳から70歳の間から「60歳から75歳の間」に拡がります(2022年4月から)。

 

iDeCo 公式サイト(https://www.ideco-koushiki.jp/)で、加入した場合どれくらい税負担が軽減されるかシミュレーションできます。

 

老齢給付金以外に障害給付金(非課税)や死亡一時金(みなし相続財産)もあります。

 

iDeCo加入の手続きと注意点

iDeCoに入る手続きは、iDeCoを取り扱う金融機関(運営管理機関)を通して行います(iDeCo 公式サイトで運営管理機関一覧を確認できます)。

 

(注意点)

iDeCo加入により、以下の手数料がかかります。

①国民年金基金連合会の手数料

・加入時手数料(初回1回のみ):2,829円

・収納時手数料(掛金収納の都度):105円

・還付手数料(その都度)1,048円
国民年金保険料の未納が判明した場合は、その月のiDeCo掛金を加入者に返還されます。その際にかかる手数料です。

②運営管理機関(金融機関等)の手数料
運営管理機関により異なります。
また、事務委託先金融機関(信託銀行)の手数料が別途かかります。

③運用商品の手数料
運用商品によっては、投資信託の信託報酬等、手数料がかかる場合があります。手数料は運用商品により異なります。

 

(参考)民間の個人年金保険について

民間の生命保険会社で販売されている個人年金保険もあります。

60歳まで保険料を払い、60歳(または65歳から)一定期間(10年など)年金として受けとるタイプなどが一般的です。

 

現在、予定利率は1%前後です(生命保険会社によって異なります)。

 

「個人年金保険料税制適格特約」と生命保険料控除

次のすべてを満たし、「個人年金保険料税制適格特約」を付けた契約の保険料は、生命保険料控除の対象となります。

・年金受取人が契約者またはその配偶者のいずれかである

・年金受取人は被保険者と同一人である

・保険料払込期間が10年以上である

・確定年金や有期年金の場合、年金受取開始が60歳以降で、かつ年金受取期間が10年以上である

 

2020年度現在の個人年金保険料(税制適格特約付加)についての所得控除限度額は、所得税について最高4万円、住民税について2.8万円です(2012年4月以降に契約した場合)。

 

なお、2012年4月以降に契約した一般生命保険料・介護医療保険料の所得控除限度額も、所得税4万円、住民税2.8万円です(個人年金保険料・一般生命保険料・介護医療保険料全体での所得控除限度額は、所得税12万円、住民税7万円です)。

税制適格特約が付いていない個人年金保険や変額個人年金保険の保険料は一般生命保険料として生命保険料控除の対象になります。

 

個人年金保険の年金受取時は、契約者本人が年金受取人の場合、総収入金額(その年に受け取った個人年金保険の年金額)から必要経費(払込保険料のうちその年の年金額に対する金額)を差し引いた額がその年の雑所得の額となります。

契約者(保険料を払った人)と年金受取人が違う人の場合は、夫婦間であっても、年金受け取り開始時に年金受給権に対して贈与税がかかります。

関連記事

  1. 退職金・老後資金積立

    個人事業主・フリーランスの老後資金積立や投資の一般的な優先順位について

    個人事業主・フリーランス向けの年金・社会保険セミナーでお話ししていると…

  2. 退職金・老後資金積立

    自営業者(個人事業主・フリーランス)も加入できる退職金・老後資金積立「小規模企業共済」

    自営業者(個人事業主・フリーランス)等が所得税や住民税を節税しながら退…

  3. 退職金・老後資金積立

    役員退職金、経営セーフティー共済、企業型確定拠出年金

    法人の代表者や役員が退任した際に会社から受ける役員退職金(役員退職慰労…

おすすめ記事

最新記事

  1. 令和5年度(2023年度)の全国健康保険協会(協会けんぽ)保…
  2. つみたてNISA 令和5年(2023年) よくある質問
  3. 個人事業主・フリーランスや小規模法人経営者が影響を受ける今後…
  4. 令和6年の次回財政検証・令和7年の次回公的年金改正に向けて、…
  5. 新設・拡充予定の雇用助成金と令和3年度会計検査院検査報告
  1. お知らせ

    保護中: 令和4年度助成金ダイジェスト
  2. 健康保険・厚生年金保険

    傷病手当金・出産手当金の給付と健康保険・国民健康保険(市区町村・国民健康保険組合…
  3. お知らせ

    令和2年度年金額が今年度に比べて0.2%プラス改定 在職老齢年金基準額は28万円…
  4. 障害年金

    障害基礎年金と障害厚生年金の基礎知識
  5. お知らせ

    人生100年時代における「老後資金2000万円不足」問題の計算根拠
PAGE TOP