健康保険・厚生年金保険

厚生年金保険・健康保険の強制適用事業所とは

厚生年金保険・健康保険の加入手続きを必ず行うべき事業所(強制適用事業所)

厚生年金保険・健康保険の加入手続きを法律上必ず行うべき事業所(強制適用事業所)とはどういう事業所なのかを、確認しておきましょう。

まず、法人事業所は、業種や人数によらず、厚生年金保険・健康保険が強制適用です。

一方、個人経営の事業所は、少し複雑です。

個人経営の事業所で、常時5人以上の従業員を使用し、下記の16業種(「適用16業種」)のいずれかに該当する事業所は、強制適用です。

 

【従業員常時5人以上なら厚生年金保険・健康保険が強制適用となる法定16業種】

・物の製造、加工、選別、包装、修理又は解体の事業

・土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体又はその準備の事業

・鉱物の採掘又は採取の事業

・電気又は動力の発生、伝導又は供給の事業

・貨物又は旅客の運送の事業

・貨物積みおろしの事業

・焼却、清掃又はと殺の事業

・物の販売又は配給の事業

・金融又は保険の事業

・物の保管又は賃貸の事業

・媒介周旋の事業

・集金、案内又は広告の事業

・教育、研究又は調査の事業

・疾病の治療、助産その他医療の事業

・通信又は報道の事業

・社会福祉法に定める社会福祉事業及び更生保護事業法に定める更生保護事業

 

個人経営の事業所で、常時5人以上の従業員を使用するものの、上記法定16業種のいずれにも該当しない事業所は、厚生年金保険・健康保険は任意適用です。

具体的には、以下のような業種の事業所です。

・第一次産業(農林水産業等)

・接客娯楽業(旅館、飲食店等)

・法務業(弁護士、税理士等)

・宗教業(寺院、神社等)

・サービス業(理美容店等)

(注)個人経営で常時5人以上の従業員を使用する下記の士業事務所については、2022年10月から厚生年金保険・健康保険の強制適用事業所とされます。
・弁護士・司法書士・行政書士・土地家屋調査士・公認会計士・税理士・社会保険労務士・弁理士・公証人・海事代理士

 

個人経営の事業所で、従業員常時5人未満の事業所は、業種によらず厚生年金保険・健康保険は任意適用です。

 

なお、任意適用の事業所も、被保険者となるべき人の2分の1以上以上の同意を得て厚生労働大臣の認可を受ければ、厚生年金保険・健康保険に加入することができます。

 

(参考)「被用者保険の適用事業所の範囲の見直し」
第14回社会保障審議会年金部会 資料1 厚生労働省年金局(2019年11月13日)
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000565930.pdf

個人事業主本人は、厚生年金保険・健康保険には入れない

強制適用事業所の場合も、任意適用事業所が厚生労働大臣の認可を受けて任意包括加入する場合も、厚生年金保険・健康保険に加入できるのは従業員だけです。

個人事業所のみを経営する代表者本人は、厚生年金保険・健康保険に加入できません。

個人事業所のみを経営する代表者は、年金については、20歳以上60歳未満であれば国民年金に加入します(60歳以上65歳未満で一定の要件を満たす人や、65歳以上最高70歳未満で一定の要件を満たす人が国民年金に任意加入できる制度もあります)。

医療保険については、原則75歳未満であれば国民健康保険に加入します。

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