健康保険・厚生年金保険

傷病手当金・出産手当金の給付と健康保険・国民健康保険(市区町村・国民健康保険組合)

都道府県・市区町村が運営する国民健康保険には、傷病手当金や出産手当金がない

 

会社員が加入する健康保険には、業務外の病気・けがによる療養のため働けなくなって給料を受けられないときに、給料の約3分の2が最高1年6か月支給される傷病手当金があります。

出産前後の一定期間仕事を休み給料を受けない間について、給料の約3分の2が支給される出産手当金もあります。

自営業者(個人事業主・フリーランス)等が加入している、都道府県・市区町村運営の国民健康保険にはこのような制度がありません(注)。

ですから、病気・けがや出産が原因で収入がなくなったときのために備えておく必要があります。

 

(注)条例を制定して支給することはできることとなっています。2020年度には、国民健康保険に入っている人のうち給与を受けて働いている人が、新型コロナウイルス感染症に感染し、または発熱等があり感染した疑いがあり、療養のため働けなくなって給与を受けられなくなった場合に、傷病手当金を支給することとした市町村もあります。

 

業種ごとの国民健康保険組合と傷病手当金・出産手当金

 

都道府県・市区町村ではなく、同じ事業や業務に就いている人で構成された国民健康保険組合が運営する国民健康保険もあります。

(例)文芸美術国民健康保険組合、全国建設工事業国民健康保険組合、東京美容国民健康保険組合、東京理容国民健康保険組合、東京料理飲食国民健康保険組合、京都芸術家国民健康保険組合 など

国民健康保険組合によっては、傷病手当金や出産手当金制度があるところがあります(制度の有無や給付の内容は各組合により異なります)。

ただし、組合員となるためには、事業・業務が同種であることが必要です。地域が限られている組合も多いです。

 

会社員が加入する健康保険と傷病手当金・出産手当金

 

 

会社員が加入する健康保険には、業務外の病気・けがによる療養のため働けなくなり会社から給料を受けられないときの所得保障として、傷病手当金があります。

 

最長1年6か月にわたって、月給の約3分の2が支給されます。

療養のために業務を休み始めた日から連続した3日間(待機期間)を除いて4日目からが支給対象です。

 

また、健康保険には、出産前後の一定期間、仕事を休み給料を受けない間の所得保障として、出産手当金があります。

 

原則として産前42日(多胎妊娠の場合は98日)産後56日にわたって、月給の約3分の2が支給されます。

 

傷病手当金・出産手当金の1日あたりの支給額は、原則として次のとおりです。

・1日あたりの支給額=支給開始日以前の12か月間の標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3

健康保険は75歳未満であれば法人代表者・役員であっても被保険者になれますので、
75歳未満の法人代表者・役員(健康保険被保険者)も報酬を受けていない間は、その他の要件をみたせば、傷病手当金や出産手当金をもらうことができます。

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