60歳からの働き方

65歳以降も働くと年金はどうなるのか 働き方改革と在職老齢年金

65歳以降も働ける企業・70歳からも働ける企業の割合・働いている人の数

平成30年版高齢社会白書(内閣府)によると、現在仕事をしている60歳以上の者の約4割が「働けるうちはいつまでも」働きたいと回答。
「70歳くらいまでもしくはそれ以上」という回答と合計すれば、約8割が高齢期にも高い就業意欲を持っているとのこと。

66歳以上働ける制度がある企業は約28%、70歳以上働ける企業が約26%

労働力人口が減少している中で、高齢者の就業促進は「働き方改革」の重要項目のうちのひとつとされています。

 

「高齢者の雇用状況」集計結果によると、66歳以上働ける制度のある企業は27.6%、70歳以上働ける制度のある企業は25.8%、
定年制を廃止している企業は2.6%となっています。

(注)平成25年4月以降に開始された期間の定めがある雇用契約が通算で5年を超えて繰り返し更新された場合、労働者の申込によって、期間の定めのない雇用契約となるのが原則です。
ただし、会社が都道府県労働局長の認定を受けている場合、その会社や親会社など一定の関連会社で定年を迎えて再雇用されている人は、期間の定めのない契約への転換を申し込むことができません。

60歳代後半で厚生年金に働いている人は150万人

厚生労働省によると65歳~69歳の雇用者300万人のうち150万人が厚生年金に入っていたとのことです。(2016年度末時点)

「雇用の変容と年金 (高齢期の長期化、就労の拡大・多様化と 年金制度) 」厚生労働省年金局 2018年11月2日より。

65歳以降も厚生年金に入って働いた分だけ、将来もらえる年金は増える

65歳以降働いている間の収入は、給料と年金です。

もし65歳以降も厚生年金に入って働くと、年金はどうなるのでしょうか。
(65歳以降も、厚生年金・健康保険・雇用保険に入る人の要件は変わりません。)

65歳以降も厚生年金に入った記録(加入期間の月数・給料月額・賞与額)は、次のいずれかの時点で年金額に反映し、年金額が増えます。

1.70歳までに退職(厚生年金被保険者資格を喪失)して1か月経過した場合は、退職(厚生年金被保険者資格を喪失)した翌月分以降の年金が増えます。

2.70歳まで働いたら、70歳になった日に厚生年金被保険者でなくなり、70歳になった翌月分以降の年金額が増えます。

3.70歳以降働いても、年金額はもう増えません。

65歳からの老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金カット(在職老齢年金)


65歳までの年金カットは、年金月額と給料月額との合計額が28万円を超えたら、超えた分の半分だけ年金がカットされるというものでした。

・65歳までの年金カット額(月額)=(年金月額+標準報酬月額+その月以前1年間の標準賞与額÷12-28万円)÷2

一方、65歳からの年金のうち老齢厚生年金(報酬比例部分)は、年金月額と給料月額との合計額が46万円を超えたら、超えた分の半分だけ年金がカットされます。

・65歳からの年金カット額(月額)=(年金月額+標準報酬月額+その月以前1年間の標準賞与額÷12-46万円)÷2

65歳までの年金カット額計算式の「28万円」を「46万円」に変えただけですね。

65歳までの年金カットの基準に比べてかなり緩くなっています。

(「46万円」という数字は、現役男性被保険者の平均的賃金を基に決められています。この数字は、毎年度1万円単位で改定される可能性があります。)

例えば、老齢厚生年金(報酬比例部分)が120万円(年金月額10万円)なら、給料月額36万円(標準報酬月額36万円)をもらっていても年金は全額もらえます。

ですから、経営者以外の一般サラリーマンに限ると、65歳以降も給料との調整で年金がカットされる人は、少なくなります。

65歳以降厚生年金に入っている人のうち年金がカットされている人の人数・割合

厚生労働省によると、65歳以降年金をもらいながら厚生年金に入って働いている人204万人のうち、
在職老齢年金のしくみによって年金がカットされている人は36万人(18%)とのことです。

なお、65歳以降引き続き雇用保険に入っていても、高年齢雇用継続給付はもうもらえません。

ですから、高年齢雇用継続給付と年金との調整も65歳からは行われません。

老齢基礎年金や老齢厚生年金(経過的加算部分)は給料が高くても全額もらえる

65歳からの年金のうち、報酬との調整でカットされるのは、老齢厚生年金(報酬比例部分)だけです。

老齢基礎年金および老齢厚生年金(経過的加算部分)は、給料をいくらもらっても、請求さえすれば必ず全額受け取れます。

ですから、65歳からの年金カット額を計算する場合の「年金月額」とは、老齢厚生年金のうちの「報酬比例部分」だけを12で割ったものです。

老齢厚生年金(経過的加算部分)や老齢基礎年金は含まないで、老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額換算額だけで計算しますので、間違わないようにしましょう。

(注)厚生年金基金にも加入の場合は、厚生年金基金が国に代わって老齢厚生年金(報酬比例部分)の一部を代行して支給する部分(「基金代行額」)も含めた月額換算額を「年金月額」として計算します。

以上、
・65歳以降厚生年金に入った分も、後からもらう年金額に反映すること

・65歳からの年金には、給料がいくら高くても全額もらえる部分があること

・65歳からの給料と年金の調整基準は緩やかであること

を確認しました。

65歳以降もなるべく高い給料で長く働き続けるほど、もらえる年金総額を増やせます。

老齢厚生年金(報酬比例部分)が全額カットされると、加給年金額も全額カット

厚生年金に20年以上入った人が老齢厚生年金をもらう場合、生計を維持している65歳未満の配偶者や高校卒業まで(または障害等級1・2級の障害状態の20歳未満の)未婚の子がいれば、
加給年金額ももらえます。

ただし、給料との調整で老齢厚生年金(報酬比例部分)*が全額カットされている間は、加給年金額の対象となる配偶者や子がいても、
加給年金額はもらえません。

老齢厚生年金(報酬比例部分)*が一部でも支給されている間は、加給年金額の対象となる配偶者や子がいれば、
加給年金額は全額もらえます。

*基金代行額がある場合は、「老齢厚生年金(報酬比例部分)+基金代行額」

70歳以降は厚生年金保険料はかからないが、年金と給料の調整はある

厚生年金保険料がかかるのは、最高70歳までです。

もし70歳以降も厚生年金適用事業所で週30時間以上働いたとしても、70歳からは厚生年金保険料はかかりません。

ただし、年金と給料の調整は、70歳以降も60歳台後半と同じしくみ(基準額46万円)があります。

健康保険に入って保険料が給料から引かれるのは最高75歳までです。
(75歳以降は、「後期高齢者医療制度」に入ることとなります。)

65歳以降も「高年齢被保険者」として雇用保険に入れます。
(年齢制限はありません。)

ただし、2019年度までは、毎年度4月1日において64歳以上の人については雇用保険料はかかりません。
2020年度からは、年齢を問わず雇用保険料がかかります。

60歳定年後再雇用で、1年契約を更新して5年経ったらどうなるか

平成30年版高齢社会白書(内閣府)によると、現在仕事をしている60歳以上の者の約4割が「働けるうちはいつまでも」働きたいと回答。「70歳くらいまでもしくはそれ以上」という回答と合計すれば、約8割が高齢期にも高い就業意欲を持っているとのこと。

http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2018/html/zenbun/s1_2_1.html

労働力人口が減少している中で、高齢者の就業促進は「働き方改革」の重要項目のうちのひとつとされています。

 

「高齢者の雇用状況」集計結果によると、66歳以上働ける制度のある企業は27.6%、70歳以上働ける制度のある企業は25.8%、定年制を廃止している企業は2.6%となっています
https://www.mhlw.go.jp/content/11703000/000398101.pdf

例えば、60歳定年で退職後、1年ごとの嘱託契約で再契約され、その後更新を繰り返して65歳を超えたら、それから後は1年契約ではなく、いわゆる「無期雇用契約」(期間の定めのない契約)に自動的に変わるのでしょうか。

平成25年4月以降に開始された期間の定めがある雇用契約が通算で5年を超えて繰り返し更新された場合、労働者の申込によって、期間の定めのない雇用契約となるのが原則です。

ただし、会社が都道府県労働局長の認定を受けている場合、その会社や親会社など一定の関連会社で定年を迎えて再雇用されている人は、期間の定めのない契約への転換を申し込むことができません。

ですから、会社が都道府県等同局長の認定を受けているかどうかは確認しておく必要があります。

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