個人事業主・フリーランス等は、年金は国民年金に加入し、医療保険は国民健康保険に加入することとなっています。
国民年金には20歳以上60歳未満の間加入し、国民健康保険には最高75歳になるまで加入します。
もくじ
国民健康保険にはサラリーマンの加入する健康保険のような被扶養者制度はない
都道府県の区域内に住所を有する75歳未満の人は、法人会社等に勤務して健康保険に加入している人、公務員の共済組合に加入している人、私立学校教職員共済制度に加入している人などの例外を除いて、都道府県がその都道府県内の市町村(特別区を含みます。以下同様)とともに運営する国民健康保険に加入することとなっています。
自営業・フリーランス等が加入する国民健康保険には「被扶養者」という制度がありません。
したがって、会社勤めをして健康保険に加入している人や公務員として共済制度に加入している人等を除いた世帯全員が国民健康保険の「被保険者」となり、国民健康保険料は世帯ごとに計算されます。
世帯主は世帯分の国民健康保険料を納付する義務があります。
国民健康保険料の算定方法や保険料額は、市町村によって異なる
国民健康保険料の算定方法や保険料の額は、住んでいる市町村、世帯の所得、世帯人数などによって変わります。
例えば、東京都のある区に住んでいる世帯であれば、医療分の保険料、後期高齢者医療制度への支援金分としての保険料、40歳以上65歳未満の加入者についての介護保険料分のそれぞれについて、次の二つを計算して合算したものの合計額が年間の国民健康保険料となります。
(1)所得割:世帯の中で国民健康保険に加入する人全員の年間所得額をもとに計算
(注)所得割算定のもとになる所得=前年の所得金額の合計-基礎控除33万円(2020年度の国民健康保険料を算定する場合)
(2)均等割:世帯の中で国民健康保険に加入する加入者の数に応じて計算
世帯の中で国民健康保険に加入する人の数は同じでも、世帯の国民健康保険加入者全員の年間所得合計額が多ければ、翌年度(翌年4月分から翌翌年3月分まで)分の国民健康保険料は多くなります。
(国民年金保険料は毎年6月に決定され、6月から翌年3月の10回(市町村によっては4月から翌年3月の12回)で納めるのが原則です。
例えば、次のような世帯では、2020年度分の国民健康保険料は670,740円です。
・東京都某区在住で、東京都および区が運営する国民健康保険に加入。
世帯主(夫)は45歳の個人事業主(前年の所得420万円)。
配偶者(妻)は40歳(年収・所得0円)。
子供は1人、Cさん15歳(年収・所得0円)。
(注)所得とは:収入から必要経費などを差し引いた金額
世帯主(夫)の2019年の所得が600万円なら、2020年度分の世帯の国民健康保険料は890,340円です。
世帯主(夫)の2019年の所得が705万円以上なら、2020年度分の世帯の国民健康保険料は最高限度額である99万円となります(医療分保険料額63万円+後期高齢者支援金分保険料額19万円+介護分保険料額17万円)
(2021年度分以降の保険料は、保険料率の変動・基礎控除額や限度額の改定などによって変わる可能性があります)
都道府県・市町村が運営する国民健康保険には、職業生活を引退した人や失業中の人、学生、就学前の子供なども加入します。
したがって、個人事業主・フリーランスの人の世帯所得がある程度増えると、国民健康保険料が上限額に達します。
なお、市町村によっては、国民健康保険税として徴収している市町村もあります。
一定の要件を満たせば、市町村が定めるところにより保険料が軽減・減免されることがあります。詳しくは、お住いの市町村にご照会ください。
国民健康保険組合加入の場合の国民健康保険料
国民健康保険組合(同種の事業または業務に従事している300人以上の人で構成)が運営する国民健康保険の保険料は、所得額によらず定額の場合もあります。
したがって、所得額が一定額以上の場合、都道府県・市町村の運営する国民健康保険に加入するよりも国民健康保険料が少なくなります。
そのため、自営業者・フリーランス向けのお得情報として国民健康保険組合についての情報がネット上等でも提供されていることがあります。
例えば、先ほどの世帯(前年の世帯所得420万円)が、加入要件を満たしているために「文芸美術国民健康保険」に加入したとすると、年間国民健康保険料は578,400円となります(2020年度の場合)。
ただし、国民健康保険組合の国民健康保険に加入するためには業種が該当する必要があります。地域が限定されている国保組合も多いです。
保険料は各国保組合によって異なります。
【参考】文芸美術国民健康保険組合
http://www.bunbi.com/
自営業・フリーランスが負担する国民年金保険料
日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の人は国民年金に強制加入となっており、国民年金保険がかかります。
国民年金保険料は2020年度は月額16,540円です
夫婦ともに20歳以上60歳未満の場合は、二人とも国民年金保険料がかかります。
二人分の年間の国民年金保険料は、月額16,540円×12か月×2人=396,960円です。
もし、夫も妻も今月40歳になったばかりの夫婦なら、今後60歳になるまでの20年間で二人分合計の国民年金保険料は約800万円かかることとなります。
年間約20万円×2人×20年=800万円
同一世帯に子など20歳以上60歳未満の人がいる場合は、(保険料免除を受けたり保険料納付猶予制度を利用していない限り)その人についても国民年金保険料がかかります。
世帯主は世帯の全員の保険料を連帯して納付する責任があります。
なお、毎月の保険料納付期限は翌月末日のところ、当月末口座振替払(早割)を利用すると一人あたり月額50円割引になります。
また、半年、1年、2年分の保険料を前払する前納制度もあります。2年分を口座振替で前納すると、1人あたり15,840円割引となります