もくじ
はじめに サラリーマンの年金の基本形 「65歳までの年金」と「65歳から」の年金
国からもらえる老齢年金は、65歳までの年金と65歳からの年金に大きく分かれます。
・65歳までの年金を、「特別支給の老齢厚生年金」といいます。
・65歳からの年金には、「老齢厚生年金」と「老齢基礎年金」があります。
サラリーマンの年金は「2階建ての年金」だと、よく言われます。
しかし、実際に2階建ての老齢年金をもらえるのは65歳からです。
65歳からの2階建ての老齢年金のうちの1階部分は、全国民共通の年金で、「老齢基礎年金」といいます。
(厚生年金・国民年金などの公的年金制度に合計10年以上入った人がもらえます。)
2階部分は、厚生年金に入った期間がある人がもらえる年金で、「老齢厚生年金」です。(公的年金制度に合計10年以上入り、そのうち1月でも厚生年金に入った人がもらえます。)
いつから年金(特別支給の老齢厚生年金)をもらえるか(年金支給開始年齢)は、生年月日および性別によります。
65歳までの年金(「特別支給の老齢厚生年金」といいます)を何歳からもらえるかは、生年月日および性別によります。
例えば、2018年度(2018年4月1日から2019年3月31日まで)中に60歳になる人、つまり昭和33年4月2日から昭和34年4月1日までに生まれた人の場合。
男性なら、63歳から
女性なら、61歳から
特別支給の老齢厚生年金として、「報酬比例部分」のみの年金をもらえます。
例えば、2019年度(2019年4月1日から2020年3月31日まで)中に60歳になる人、つまり昭和34年4月2日から昭和35年4月1日までに生まれた人の場合。
男性なら、64歳から
女性なら、61歳から
特別支給の老齢厚生年金として、「報酬比例部分」のみの年金をもらえます。
・特別支給の老齢厚生年金をいつからもらえるか
(日本年金機構ホームページ)
65歳までの特別支給の老齢厚生年金をもらえる世代の人たちとは
65歳までの年金をもらえる人は、特定の世代の人だけです。
65歳までの「特別支給の老齢厚生年金」は、次の人たちだけが「特別に」もらえる年金です。
・昭和36年4月1日以前生まれの男性
・昭和41年4月1日以前生まれの女性
これらの人は、生年月日・性別によって定められた年齢になると、「特別支給の老齢厚生年金」をもらえます。
(公的年金制度に合計10年以上入り、そのうち「1年以上」厚生年金に入った人に限ります。)
年金をもらえる年齢(満年齢)になるのは「誕生日の前日)
年金をもらえる年齢(満年齢)になるのは、「誕生日の前日」です。
(例1)
昭和32年3月15日生まれの男性であれば、2019年3月14日(誕生日の前日)に、特別支給の老齢厚生年金をもらえる年齢(62歳)になります。
年金請求手続きを行うと、年金をもらえる年齢になった月(2019年3月)の「翌月分」(2019年4月分)から年金をもらえます。
(例2)
昭和32年3月1日生まれの男性なら、2019年2月28日(誕生日の前日)に、特別支給の老齢厚生年金をもらえる年齢(62歳)になります。
年金請求手続きを行うと、年金をもらえる年齢になった月(2019年2月)の「翌月分」(2019年3月分)から年金をもらえます。
1日生まれの人だけは、誕生月分から年金をもらえることとなります。
年金支給月は、2月・4月・6月・8月・10月・12月の年6回。偶数月の15日に支給。
年金は年6回、偶数月の15日にもらえます。
年金は毎月もらえるわけではありません。
国からもらえる年金は、2月・4月・6月・8月・10月・12月の年6回偶数月の15日に、前々月分・前月分の2か月分の年金が後払いで支払われます。
(本人が指定する金融機関の口座に振り込まれます。15日が金融機関の休日の場合は、その前の営業日に振り込まれます。)
したがって、先ほどの(例1)の男性は、2019年6月15日に2019年4月分・5月分の年金を受け取ることとなります。
(事務処理の都合で、初回の年金は、実際に振り込まれるのが7月以降となることがあります。)
給料と同じように年金も毎月もらえるものだと思っている人もいますが、年金は2か月に1回偶数月に後払いで支払われます。
いまは、男性も女性も、60歳からは年金をもらえない(繰上げする人を除く)
いまは、男性も女性も、60歳からは年金をもらえなくなっています。
これから60歳になる人は、特別支給の老齢厚生年金を「60歳から」もらうことはできません。
生年月日・性別によって定められた「61歳、62歳、63歳、または、64歳」からしかもらえません。
つまり、60歳定年でリタイアしてすぐに年金をもらい始める、ということはできなくなっています。
(年金の「繰上げ」制度を選択する場合を除きます。)
ですから、ひと昔までと違い、60歳定年で完全にリタイアする人は少なくなっています。
昭和36年4月2日以後生まれの男性や昭和41年4月2日以後生まれの女性は、65歳までの年金はまったくもらえず、65歳からの年金だけとなります。
年金はいつまでもらえるのか
年金は、もらうための要件を満たした月の翌月分から、もらうための要件を満たさなくなった月分までもらえます。
「65歳まで」の特別支給の老齢厚生年金は、65歳になる月分までもらえる有期年金
65歳までの特別支給の老齢厚生年金は、年金をもらえる年齢になる月の「翌月分」から、65歳になる「月分」まで支払われます。
(65歳までに亡くなった場合は、亡くなった月分までが支払われます。)
65歳からの年金は、亡くなった月分までもらえる終身年金
65歳になると、特別支給の老齢厚生年金はもらえなくなります。
その代わり、老齢基礎年金および老齢厚生年金をもらえるようになります。
65歳からの老齢基礎年金・老齢厚生年金は、65歳になる月の「翌月」分から亡くなった「月分」まで支給されます。
65歳からの老齢基礎年金・老齢厚生年金をもらう権利は、生きている限り絶対になくなりません。
65歳からの年金は、一生もらえる終身年金なのです。
ですから、長生きすればするほど、もらえる年金額合計は増えることとなります。
65歳までの年金も65歳からの年金も時効は5年なので必ず請求手続きを行う
なお、65歳からの年金も65歳からの年金も、年金をもらうための請求手続きを行わないともらえません。
65歳からの年金も65歳からの年金も、年金の請求手続きをしないまま5年を過ぎると、時効でもらえない年金が生じますので、必ず請求しましょう。
亡くなった月分の「未支給」分の年金は一定の遺族が「自己の名で」請求できる
亡くなった月分の年金は遺族がもらえます。
前述の通り、年金は前々月分・前月分の2か月分が偶数月の15日に後払いで支払われます。
したがって、亡くなった月分の年金は、亡くなった月の翌月または翌々月の15日に支払われることとなります。
ですから、年金をもらっている人が亡くなった場合には、生きていればもらえるはずだったのに本人が受け取れなかった「未支給」分の年金が必ず生じます。
この「未支給」分の年金は、年金をもらっていた人の死亡当時、その人と生計を同じくしていた一定の遺族が請求してもらうことができます。(配偶者がいれば配偶者だけが請求できます。)
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