老齢厚生年金

企業年金連合会からの年金ももらえる場合の注意点とは

厚生年金基金にも入っていた期間がある人の年金の「もらいもれ」

厚生年金基金とは、企業年金の一つで、国が支給する特別支給の老齢厚生年金・老齢厚生年金のうち報酬比例部分の年金を国に代わって支給し、基金独自のプラスアルファ部分とともに支給するところです。

ここ数年、厚生年金基金の解散・代行返上が多かったため、2019年3月現在の厚生年金基金数はわずか10となっています。(うち2基金は代行返上内諾済とのことです。)

平成26年3月までに短期間だけ厚生年金基金に加入していた期間分の年金や、平成26年3月までに解散した厚生年金基金に加入していた期間分の年金で、「企業年金連合会」が引き継いでいる年金は、今でも請求もれがあると思われます。

(厚生労働省によると、平成29年度末の企業年金連合会からの年金の受給権者数1,065万人のうち、未請求者は125万人。受給権者数に対する未請求者の割合は11.7%とのことです。)

短期間だけ厚生年金基金加入企業に勤めていた分の年金が企業年金連合会からもらえる人(平成29年3月までの「中途脱退者」)には、企業年金連合会から「基本年金」をもらうための「裁定請求書」が郵送されてきます。

しかし、請求しないままとなっている人や、住所変更等が原因で請求書が届かなかった人も過去には結構あったようです。

(注)中途脱退者とは:厚生年金基金の加入期間が10年未満(基金によっては15年未満)で60歳前(基金によっては55歳前)に基金加入をやめた人。

この「基本年金」は、国から支給される報酬比例部分の年金とは異なり、報酬がいくら高くても全額もらえます。

もともと厚生年金基金が上乗せして支給する筈だったプラスアルファ部分も残っています。

一方、昔勤めていた会社が加入していた基金が平成26年3月までに解散したため企業年金連合会から「代行年金」をもらえる場合は、国の年金の請求手続きを行った後に、企業年金連合会から「裁定請求書」をもらって請求手続きを行う必要があります。

「代行年金」は、国から支給される報酬比例部分の年金と同様、報酬との調整の対象となります。

厚生年金基金がすでに解散しているわけですので、プラスアルファ部分は残っていません。

不明点がある場合は、企業年金連合会(https://www.pfa.or.jp/)の「企業年金コールセンター」(0570-02-2666)にご照会ください。

(注)

・平成26年4月以降の中途脱退者については、基本年金部分は加入していた基金から支給されます。(脱退一時金相当額を年金で受け取る選択をした場合、その部分は中途脱退時期によらず企業年金連合会から支給)

・平成26年4月以降に解散した基金については、代行部分は報酬比例部分として国から支給されます。

(残余財産を年金で受け取る選択をした場合、その部分は解散時期によらず企業年金連合会から支給)

(まとめ)
■昔厚生年金基金に加入していた期間分の年金がないか企業年金連合会に確認することで、年金のもらいもれを防げる。

 

国の年金の繰下げと、企業年金連合会からの「基本年金」・「代行年金」の繰下げとの関係

65歳になってから4カ月ほど経った社長さんから、次のような質問を受けることが多いです。

「企業年金連合会から年金の「繰下げ意思確認書」が来ましたが、これはどうしたらいいですか?
企業年金というのがよくわかりませんが、 60歳頃から振り込まれていると思います。
何故今こんな通知が来るのかわかりません。わかるように説明して頂けますと助かります。」

企業年金連合会とは、厚生年金基金や確定給付企業年金を脱退した人(中途脱退者)等の年金資産を引き受け、将来的な年金給付を一元的に行う年金通算事業を実施しているところです。
中途脱退者の年金資産を転職先の企業年金制度や個人型確定拠出年金(iDeCo)に移換するポータビリティ機能の役割も果たしています。

前述の通り、企業年金連合会から支給される年金のうち、代表的なものは次の二つです。

1.(平成26年3月までの)基金の中途脱退者に支給される「基本年金」
2.(平成26年3月までの)解散した基金に加入していた人に支給される「代行年金」

冒頭の質問の「繰下げ意思確認書」というのは、国から支払われる65歳からの老齢厚生年金を繰下げる予定があるかを本人に確認するために企業年金連合会から送付されてくるものです。

国の老齢厚生年金の繰下げをした人は企業年金連合会の年金(基本年金、代行年金)も繰下げとなります。

繰下げ待機中は国の老齢厚生年金も、企業年金連合会の年金(基本年金、代行年金)も支給停止となります。

ですから、企業年金連合会の年金受給者の方が、国の老齢厚生年金を66歳以降に繰下げて受給する予定がある場合は、繰下げ意思確認書の中にある「(繰下げ)支給停止申出書」(はがき)を企業年金連合会に提出する必要があります。

国の老齢厚生年金を繰下げて受給するつもりの人が、企業年金連合会の年金について「(繰下げ)支給停止申出書」を提出しないと、企業年金連合会の年金が支払われてしまいます。

この場合、企業年金連合会の年金について過払いが生じ、後日過払い分を返す必要があ出て来ますので注意が必要です。

企業年金連合会は昔は厚生年金基金連合会という名称でした。

昭和42年に設立された厚生年金基金連合会が、法律改正により、平成17年10月、企業年金連合会に改組されました。

当初は、代表的な企業年金は厚生年金基金だけでしたので、厚生年金基金連合会という名前でした。

しかし、平成13年に確定拠出年金法・平成14年に確定給付企業年金法ができ、代表的な企業年金として、厚生年金基金以外に確定拠出年金(企業型)や確定給付年金もできました。

それらの年金に関する年金通算事業も業務に含まれることとなったため、平成17年10月より企業年金連合会という名前になりました。

なお、日本年金機構の老齢年金に関するパンフレットには、次のような記載があります。

「厚生年金基金または企業年金連合会から年金を受けている人が老齢厚生年金の繰下げを希望する場合は、65歳から繰下げするまでの間、基金等の年金が受けられない場合があります。
わからない点があれば、厚生年金基金または企業年金連合会にご照会ください。」

国の年金を繰下げたときに、厚生年金基金からの年金も繰下げるべきこととなるかどうかは、各基金の規約によります。ですから年金機構パンフレットの記載は間違いではありません。

しかし、企業年金連合会からの「基本年金」「代行年金」に限っていえば、国の年金を繰下げると、連動して繰下げるべきこととなります。

(まとめ)
■国からもらう老齢厚生年金を繰下げる場合は、企業年金連合会からの基本年金や代行年金も繰下げとなる。

■国からもらう老齢厚生年金を繰下げるつもりの人が企業年金連合会から基本年金や代行年金をもらえる場合は、企業年金連合会に「(繰下げ)支給停止申出書」を提出する必要がある。

関連記事

  1. 60歳からの働き方

    60歳以降も厚生年金に加入して働くことのメリット・デメリットとは

    60歳以降も厚生年金に入って働くことによるメリット3つ60歳以降も厚…

  2. 年金改正

    次期年金制度改正の基本的な考え方と今後の議論の大きな柱二つ

    8月27日に公表された財政検証結果を踏まえ、令和元年9月27日開催の第…

  3. 在職老齢年金

    65歳からの在職老齢年金制度の基準額 現状の47万円を維持に傾くとの報道も

    65歳以上の働く高齢者年金減額迷走現状維持に傾く「金持ち優遇…

おすすめ記事

最新記事

  1. 個人事業主・フリーランスの老後資金積立や投資の一般的な優先順…
  2. 「年金制度の仕組みと考え方」と次回年金改正
  3. 人生 100 年時代に相応しい全世代型社会保障制度構築・「幸…
  4. 保護中: 令和4年度助成金ダイジェスト
  5. 公的年金シミュレーターの試験運用が開始されました(2022年…
  1. 健康保険・厚生年金保険

    厚生年金保険・健康保険の強制適用事業所とは
  2. 老齢厚生年金

    受給資格期間(10年以上)を満たし、厚生年金保険に1か月でも加入すると老齢基礎年…
  3. 健康保険・厚生年金保険

    2022年10月からの社会保険(厚生年金・健康保険)適用拡大特設サイトが公開され…
  4. 老齢厚生年金

    老齢厚生年金に加算される加給年金額とは
  5. 60歳からの働き方

    60歳定年後何歳まで働くかによって老齢厚生年金受給額・雇用保険給付額・厚生年金保…
PAGE TOP