厚生年金保険や国民年金に加入している人のもとには、毎年1回誕生月の上旬に日本年金機構から「ねんきん定期便」が届きます。(1日生まれの人には誕生月の前月上旬に届きます。)
節目年齢(35歳・45歳・59歳)を迎える人にはA4版の水色の封筒で定期便が届くのですが、それ以外の年齢の人には、ハガキ形式の定期便が届きます。
50歳未満の人に届く「ねんきん定期便」記載の年金額は、「これまでの加入実績に応じた年金額」
50歳未満の人に届く定期便と50歳以上60歳以下の人に届く定期便とでは、記載されている年金額の意味が下記の通りまったく異なりますので、注意が必要です。
1.50歳未満の人に届く定期便に記載されている年金額
これまでの年金加入実績に応じた年金額
2.50歳以上60歳以下の人に届く定期便に記載されている年金額
現在(正確には、定期便作成月の前々月時点)の報酬設定のまま60歳まで厚生年金保険に加入し続けたと仮定した場合の年金の受取見込額
50歳未満の人の場合、60歳(厚生年金保険加入者の多数を占める民間会社勤務の従業員の一般的な定年年齢)まで、まだ10年以上あります。
今後もずっと現在の報酬設定のまま60歳まで働き続ける人は少ないでしょう。
ですから、50歳以上の人への定期便のように、現在の報酬設定のまま60歳まで働いたと仮定してもらえる年金見込額を通知しても、あまり意味がありません。
そこで、50歳未満の人に届く定期便では、これまでの厚生年金保険・国民年金加入実績に応じた年金額が記載されています。
今後も厚生年金保険に入り続けて実際に年金をもらえる年齢(65歳)になった際には、その前月までの厚生年金保険加入期間および各月に受けた報酬額・(平成15年4月以降に受けた)賞与額に基づいて年金額が計算されます。
ですから、実際にもらえる年金額は、「ねんきん定期便」記載の金額よりも増えます。
誤解しないようご注意ください。
もくじ
50歳未満の人に届く「ねんきん定期便」記載の年金額は、前年よりも増えている
50歳未満の人に毎年誕生月に届く定期便では、これまでの厚生年金保険・国民年金加入実績に応じた年金額が記載されています。
したがって、厚生年金保険や国民年金に入って保険料を納めていれば、年金額は前年の定期便に記載されていた額よりも増えています。
こんなに少ない年金しかもらえないのなら、これ以上年金に入っても無駄ではないかと誤解しないようにご注意下さい。
(注)平成31年4月から、50歳未満の人に届く「ねんきん定期便」に、・これまでの加入実績に応じた年金額(昨年)<これまでの加入実績に応じた年金額(今年)<今後の加入状況に応じた年金額(65歳時点)
となることがわかるイメージ図が掲載されていますので、今後は誤解する人は減ると思われます。
その他、50歳未満の人に届く「ねんきん定期便」記載内容で知っておきたい主なポイント
・保険料納付額(累計額)のうち、厚生年金保険料については、会社負担分を含まずに本人負担分のみが記載されています。
・厚生年金基金にも加入した期間がある人であっても、老齢厚生年金の年金額は、基金に加入しなかったものとして記載されています。
(注)厚生年金基金とは企業年金の一つで、国が支給する老齢厚生年金(報酬比例部分)の一部を国に代わって支給し、さらに基金独自のプラスアルファ分を上乗せして支給するところです。
・老齢厚生年金(経過的加算部分)の年金額は記載されません。
50歳以上60歳以下の人に届く「ねんきん定期便」に記載されている年金見込額は、現在の報酬額のまま60歳まで働いたと仮定した場合の見込額
49歳までに届いた「ねんきん定期便」には、これまでの年金加入実績に応じた年金額が記載されてました。
ですから、毎年年金額が増えていました。
しかし、50歳以降に届いた「ねんきん定期便」に記載されている年金額は、これまでの年金加入実績に応じた年金額ではありません。
いまの報酬設定のまま60歳まで働いたとしたら年金はいくらもらえるか、という見込額です。
ですから、同じ報酬設定で働いてきたのであれば、例えば、52歳の誕生月に届いた「ねんきん定期便」と53歳の誕生月に届いた「ねんきん定期便」とで、年金額に違いはありません。
この1年保険料を負担してきたのに、「ねんきん定期便」記載の年金額が増えていないので、これ以上年金に入っても無駄なのではないかと誤解しないようにしましょう。
(注)令和元年度のように、賃金・物価の変動による年金額改定があった年度は、改定率分だけ、「ねんきん定期便」記載の年金額が変わります。
60歳までの間に厚生年金保険加入をやめてしまったり、標準報酬月額が下がったりすると、もらえる年金額は「ねんきん定期便」記載の見込額よりも少なくなります。