厚生年金保険加入期間(共済組合等加入期間を含みます)が20年以上ある人が65歳になったときに、その人に生計を維持されている65歳未満の配偶者がいるときは、老齢厚生年金に加給年金額が加算されます。
この場合、加給年金額の年金額は390,900円です(2020年度。特別加算額を含んだ額)。
厚生年金保険加入期間(共済組合等加入期間を含みます)が20年以上ある人が65歳になったときに、その人に生計を維持されている次のいずれかの子(未婚の子に限ります)がいるときも、老齢厚生年金に加給年金額が加算されます。
・18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子
・20歳未満で障害等級1級または2級に該当する障害の状態にある子
この場合の加給年金額は、以下の通りです。
1人目・2人目の子について:加給年金額は各224,900円
3人目の子について:加給年金額は各75,000円
(注)加給年金額における生計維持要件は、配偶子(または子)が老齢厚生年金をもらう人と同一世帯に属し、かつ、配偶者(または子)の年収・所得(一時的なものを除いた金額)が原則として以下のいずれかに該当する場合です。
・前年の収入(前年の収入が確定していない場合は前々年の収入)が850万円未満
・前年の所得(前年の収入が確定していない場合は前々年の収入)が655.5万円未満
健康保険の被扶養者認定における生計維持要件(原則年収130万円未満・60歳以上等180万円未満)と比較すると基準額が高いため、多くのケースで加給年金額が加算されます。
例えば、65歳から老齢厚生年金(報酬比例部分)をもらえるようになったときに、生計を維持しているちょうど5歳年下(60歳)の配偶者がいれば、配偶者加給年金額年間約40万円が5年間にわたって支給されます。
配偶者加給年金額は配偶者が65歳になると支給されなくなります。
したがって、夫婦の年齢差が大きいほど配偶者加給年金額の受給総額は多くなります。
(注)配偶者が65歳になると、配偶者自身が老齢基礎年金をもらえるようになります。
すると、老齢厚生年金をもらえる人にそれまで扶養手当のような意味合いで支払われていた配偶者加給年金額はなくなります。
その代わり、配偶者自身の老齢基礎年金に「振替加算」という形で一定額が加算されます(妻が1966年4月1日以前生まれの場合のみ)。
ただし、これから65歳になる妻につく「振替加算」の額は、下記の通り、配偶者加給年金額に比べてかなり少なくなります。
振替加算の額(2020年度)
配偶者の生年月日 | 振替加算の額(年額) |
1955年4月2日~1956年4月1日 | 51,052円 |
1956年4月2日~1957年4月1日 | 44,980円 |
1957年4月2日~1958年4月1日 | 38,908円 |
1958年4月2日~1959年4月1日 | 33,060円 |
1959年4月2日~1960年4月1日 | 26,988円 |
1960年4月2日~1961年4月1日 | 20,916円 |
1961年4月2日~1966年4月1日 | 15,068円 |
なお、配偶者の老齢厚生年金に配偶者加給年金額がつく要件を満たしていても、配偶者自身が20年以上厚生年金保険に加入した老齢厚生年金や、障害年金をもらえる間は、配偶者加給年金額は支給されません(ただし、配偶者の年金が全額支給停止となっている間は、配偶者加給年金額は支給されます)。
●老齢厚生年金をもらえる人が65歳になった後に厚生年金保険加入期間が20年以上となった場合は、
その後退職したとき、在職定時改定が行われるとき、または、70歳になったときに、要件を満たす配偶者または子がいれば、加給年金額が加算されます。