今後の年金法改正では、まずは、パートタイム労働者への健康保険・厚生年金保険の適用拡大が大きな話題となっています。
この点については、平成24年に制定された「年金機能強化法」(正式名称は、公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律」の附則第2条第2項において、
次のように定められていました。
「政府は、短時間労働者に対する厚生年金保険及び健康保険の適用範囲について、平成31年9月30日までに検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずる。」
週30時間未満のパートタイム労働者でも、一定の要件を満たせば健康保険・厚生年金保険に加入させる必要がある企業の規模(現在501人以上)を見直すことなどが、現在検討課題として挙がっています。
2019年8月に公表された財政検証結果をみても将来の厚生年金保険財政にプラスになる改正といえます。
とはいえ、パートタイム労働者の多い企業の経営に大きな影響を与える改正ですから、慎重な議論が望まれてもいるところです。
これらの点に関するこれまでの議論については、先週9月2日に開催された「第7回働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会」における厚生労働省保険局・年金局作成の資料で確認できます。
(これまでの議論の整理)
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000543376.pdf
(参考資料)
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000543378.pdf
政府は2019年9月中に「全世代型社会保障改革検討会議」(仮称)を新設する見込みだそうです。
新設の会議や社会保障審議会年金部会で、年内いっぱい議論・検討され、早ければ来年の通常国会(1月から6月開催)に改正法案を出したい意向のようです。
(2019年11月7日追記)
厚生年金のパート適用
対象範囲 中小と攻防
厚労省、月内に案 企業負担増、与党も慎重
(以上、日本経済新聞2019年11月7日 朝刊見出し)
厚生年金に入る人の範囲拡大について本日の日本経済新聞朝刊にて報道されていました。
現在検討されている内容として報じられたポイントをまとめると、以下の通りです。
●現在、従業員501人以上・週20時間以上勤務等の要件を満たす短時間労働者は厚生年金加入のところ、厚生労働者は、企業規模要件を301人以上、101人以上、51人、などとする複数の案を11月中旬までにまとめ、与党や業界団体と調整。
●年内に最終案を固め、2020年の通常国会への法案提出をめざす。
●実施時期は2022年10月からとする案が取り沙汰されている。
●厚生労働省は、中小企業の負担軽減策と組み合わせる方針
記事では、「中小企業側の反発」などについても触れられています。
今後の議論・検討の行方が注目されます。
パートタイマーへの厚生年金適用拡大案(2019年11月26日) 2022年10月より501人以上、2024年10月より51人以上
厚生年金、拡大2段階
パート適用24年に「51人」以上案
政府・与党調整
政府・与党は26日、会社員が加入する厚生年金の短時間労働者への適用を段階的に拡大する調整に入った。適用企業の対象を従来の「501人以上」から2022年10月に「101人以上」、24年10月に「51人以上」に2段階で広げる案が有力だ。
(中略)20年の通常国会への法案提出をめざす。
(以上、2019年11月27日 日本経済新聞朝刊より引用)