もくじ
会社の定年年齢や継続雇用制度について確認しておきましょう
定年を迎えるのはいつか、確認しましょう
「60歳定年」といっても、具体的にいつをもって退職とするのかは会社によって異なります。
お勤め先の就業規則の「定年」の規定をチェックするなどして、確認しておきましょう。
(就業規則における、定年の定め方の事例)
・従業員の定年は満60歳とする。
・従業員の定年は満60歳とし、60歳に達した日を含むの属する月の末日をもって退職とする。
・従業員の定年は満60歳とし、60歳に達した日を含む賃金計算期間の末日をもって退職とする。
・従業員の定年は満60歳とし、60歳に達した日を含む年度の末日(3月31日)をもって退職とする。
など。
希望すればいつまで働けるのかを確認しましょう
お勤め先の定年年齢を確認する以外に、定年年齢以降どのような形で働けるのかを、就業規則・継続雇用規程などで確認しておきましょう。
・定年でいったん退職して、再雇用なのかどうか。
・再雇用の場合は、給料、勤務時間・勤務日数、雇用期間、厚生年金・雇用保険に入るかどうか、希望すれば65歳まで働けるのかどうか、など。
60歳までに、年金について確認しておきたいこと
「ねんきん定期便」で年金見込額などを確認しましょう
59歳の誕生月に詳しいねんきん定期便が届いた頃には、年金のことを考え始めましょう。
50歳以上で特別支給の老齢厚生年金をもらう前の人には、毎年誕生月に日本年金機構から「ねんきん定期便」が届きます。
(60歳以上の人の場合は年金に入っている人に限ります。)
59歳以外の誕生月には、はがき形式の簡易な「ねんきん定期便」が届きます。
年金見込額や、これまでに払ってきた保険料累計額、直近13カ月の標準報酬月額・標準賞与額・保険料納付額などが記載されています。
59歳時の定期便で過去の年金加入記録が間違っていないか確認しましょう。
59歳の誕生月には、A4版の水色の封筒で、詳しい「ねんきん定期便」が届きます。
特に、次の内容が記載された部分が重要です。
・これまでの『年金加入履歴』
・これまでの厚生年金保険における標準報酬月額などの月別状況
・これまでの国民年金保険料の納付状況
これらは、現在日本年金機構が把握している限りのあなたの年金加入記録です。
万一、年金加入記録が間違っている場合は、記録を修正してもらう必要があります。
(年金に入っていたのに入った記録がもれていたり、給料額が誤って登録されていると、もらえるはずの年金額よりも少ない年金しかもらえないこととなってしまいますので、じっくり確認しましょう。)
・厚生年金や国民年金に入って保険料を払ったのに、加入・納付したことになっていない。
・厚生年金に入った期間の標準報酬月額や平成15年4月以降の標準賞与額が実際よりも低い金額で記載されている。
などがある場合は、同封されている「年金加入記録回答票」に記入の上返信用封筒にて返送しましょう。
日本年金機構において年金加入記録の調査・確認を行ない、年金加入記録を正しいものに直してくれます。
調査・確認の結果が郵送されてくるまでには一定期間がかかります。
60歳になる1年前、59歳の誕生月にA4版の水色の封筒で届く「ねんきん定期便」が届いたら、そろそろ年金のことを考え始めましょう。
(注)ハガキ形式の「ねんきん定期便」が届いたタイミングで、もれや誤りを見つけた方は、「ねんきん定期便・ねんきんネット等専用ダイヤル」(0570-058-555)にお問い合わせください。
賞与は平成15年4月以降のみ確認すればOKです。
なお、会社から受けた賞与が年金額に反映するようになったのは、平成15年4月からです。
ですから、日本年金機構が記録しているあなたの標準賞与額も平成15年4月以降に支給された賞与についてだけです。
平成15年3月以前の各月については標準賞与額の表示はありません。
平成15年3月以前に受けた賞与が「ねんきん定期便」に載っていないなくても、全く問題ありません。
(標準賞与額の上限は1月あたり150万円です。ある月に賞与を160万円受けたとしても、厚生年金加入記録としては標準賞与額150万円と記録されています。)
65歳までの年金見込額・65歳からの年金見込額についてのよくある勘違い
そのほか、「ねんきん定期便」の記載内容で重要なのは、年金見込額についてです。
平成31年度に60歳になる男性、つまり、昭和34年4月2日から昭和35年4月1日までの間に生まれた男性なら、特別支給の老齢厚生年金は64歳からもらえます。
そして、59歳の誕生月に届く「ねんきん定期便」に、例えば次のように年金見込額が表示されているとします。
64歳~
(1)国民年金 -
(2)厚生年金保険(一般厚生年金期間)
特別支給の老齢厚生年金
(報酬比例部分)1,080,000円
1年間の受取見込額 1,080,000円
65歳~
(1)国民年金 老齢基礎年金 779,300円
(2)厚生年金保険(一般厚生年金期間)
老齢厚生年金(報酬比例部分) 1,080,000円
(経過的加算部分) 700円
1年間の受取見込額 1,860,000円
この事例の場合、現在の給料で厚生年金に入って60歳まで働くと、64歳から65歳になるまでは特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)を1,080,000円もらえます。
65歳からは年金の形が変わり、老齢基礎年金779,300円、老齢厚生年金(報酬比例部分)1,080,000円、老齢厚生年金(経過的加算部分)700円の合計1,860,000円の年金をもらえます。
年金に詳しくない方には、この「ねんきん定期便」の表示はわかりにくいようです。
「64歳~」の「(1)と(2)の合計1,080,000円」と「65歳~」の「(1)と(2)の合計1,860,000円」とだけを単純に比較して、次のように誤解している人もいます。
・64歳から年金をもらうと、年額108万円しかもらえない。
・64歳から年金をもらわないで65歳から年金をもらい始めると、年額186万円もらえる
このように誤解している人から、「65歳までの年金をもらうと損だから、もらわないで、繰下げるつもりです。」という声を聞くことが多いです。
しかし、65歳までの特別支給の老齢厚生年金は、繰下げも繰上げもできません。
65歳までの年金を請求しないで放置しても、65歳からの年金額は一切増えません。
「ねんきん定期便」の読み間違いでとても多い事例ですので、ご注意ください。
「ねんきん定期便」には企業年金や加給年金額は書かれていない
「ねんきん定期便」には、65歳までの特別支給の老齢厚生年金や65歳からの老齢基礎年金・老齢厚生年金(報酬比例部分・経過的加算部分)の年金額が記載されています。
しかし、厚生年金基金が報酬比例部分の年金の一部を代行して支給する「基金代行額」は載っていません。
厚生年金基金独自のプラスアルファ部分・加算部分やその他の企業年金からの給付も載っていません。
「加給年金額」や「振替加算」をもらえる見込み可能性があっても、加給年金額は記載されません。
これらの年金をもらえる人は、「ねんきん定期便」だけを見て、もらえる年金が少ないと誤解しないようにしましょう。
ねんきんネットも使えます。
日本年金機構の「ねんきんネット」という無料のサービスページを利用すると、パソコンやスマートフォンから、
これまでの年金加入記録や将来受け取る年金見込額などご自身の年金に関する情報を24時間いつでも確認することができます。
「ねんきんネット」の主なサービスは次の通りです。
1.年金記録の確認
・各月の公的年金制度の加入状況
・各月の厚生年金保険の標準報酬月額と標準賞与額
・年金見込額、これまでの保険料納付額
など
2.年金見込額試算
・かんたん試算:画面のクリックだけで年金見込額を試算(現在と同じ労働条件を自動設定)
・質問形式で試算:今後の働き方などの試算条件について、質問に回答していくことで、年金見込額を試算
・詳細な条件で試算:今後の働き方や、老齢年金を受け取る年齢など、詳細な試算条件を設定して年金見込額を試算
3.電子版「ねんきん定期便」
毎年誕生月に日本年金機構から郵送されるハガキ版の「ねんきん定期便」を電子版(PDFファイル)にて確認できます。
(注)対象者は厚生年金保険または国民年金に加入中の人です。60歳以上で厚生年金にも国民年金にも入っていない人は対象外です。
4.年金支払いに関する通知書の確認
年金を受けている人に日本年金機構から郵送される「年金振込通知書」等の各種通知書の記載内容を確認できます。PDFファイルにして保存、印刷も可能です。
・年金振込通知書:口座振込による年金受給者に対して、各支払期の年金支払額を知らせる通知書
・年金支払通知書:過去にさかのぼって年金額の変更が発生した時に、年金支払額等を知らせる通知書
・年金額改定通知書:物価の変動等に応じて年金額が改定された場合に、年金額を知らせる通知書
・年金決定通知書・支給額変更通知書:年金額が決定、または変更されたときに、年金額を知らせる通知書
・公的年金等の源泉徴収書・老齢年金受給者に対し、支払われた年金額や源泉徴収された所得税額を知らせる通知書
(注)電子版「公的年金等の源泉徴収票」を印刷したものは、書面による確定申告の際の添付書類として利用できません。
5.通知書の再交付申請
日本年金機構から送付される以下の通知書を「ねんきんネット」の画面上から再交付申請することができます。
役所に行ったり電話依頼をしなくても「ねんきんネット」から24時間いつでも通知書再交付申請を行うことができるので便利です。
申請内容に基き作成された通知書が「ねんきんネット」の登録住所に郵送されます。
・公的年金等の源泉徴収票(準確定申告用の源泉徴収票は、ねんきんネットでの再交付申請対象外です。)→ 申請から郵送までの目安:約1週間
・年金額改定通知書→ 申請から郵送までの目安:約1週間
・年金振込通知書(直近に送付されたもの)→ 申請から郵送までの目安:約1週間
・年金決定通知書・支給額変更通知書→ 申請から郵送までの目安:約3週間
・社会保険料(国民年金保険料)控除証明書
(納めた国民年金保険料の納付額を証明する書類。国民年金保険料について、年末調整・確定申告の際に「社会保険料控除」の適用を受ける場合には、この控除証明書や領収証書を申告書に添付する必要があります。)→ 申請から郵送までの目安:約1週間
電子版「ねんきん定期便」の確認や、年金記録の確認、年金見込額試算が、誕生月でなくてもいつでも行うことができますので、便利です。
誕生月に送られてきた「ねんきん定期便」や年金支払いに関する通知書を紛失した場合にも内容を確認でき、必要な書類は再交付申請もできるので、安心です。
「ねんきんネット」を利用するには、ご利用登録(ユーザIDの取得)が必要です。
ご利用登録の際には、基礎年金番号、メールアドレスが必要となります。
「アクセスキーをお持ちの場合」と、「アクセスキーをお持ちでない場合」で登録方法が異なります。
アクセスキーとは「ねんきんネット」のユーザIDを取得する際に使用する17桁の番号で、この番号を使用して申し込むことで、即時にユーザIDを取得できます。
アクセスキーは、毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」内に記載されています。(アクセスキーの有効期限は3か月です。)
「ねんきん定期便」が誕生月に届いた際にアクセスキーを用いてご利用登録を行っておくとよいでしょう。
詳しい登録方法は、「ねんきんネット」ホームページをご覧ください。
(注)マイナンバーカードで「マイナポータル」にログインすれば、「ねんきんネット」のユーザーIDを取得していない場合でも取得済でも、「ねんきんネット」にログインできます。
年金事務所の年金相談も利用してみましょう
年金加入記録の確認や年金見込額試算、年金請求手続きなどについては、全国の年金事務所や「街角の年金相談センター」でも相談できます。
事前に電話で相談日時を予約されることをおすすめします。
予約受付専用電話番号などは、下記ページで確認できます。
年金事務所や街角の年金相談センターの年金相談を利用されるときは、年金手帳、基礎年金番号通知書など、日本年金機構から送られてきた基礎年金番号がわかる書類をご持参ください。
(年金加入記録や年金見込額の交付を希望される場合や請求書を提出をされる場合は、運転免許証、個人番号カードなど本人確認できる書類も持参ください。)
ご本人が相談する以外に、本人の委任を受けた家族などの代理人が相談することもできます。
(本人の委任状や代理人の本人確認ができる書類が必要です。委任状の様式は、日本年金機構のホームページでもダウンロードできます。)
年金事務所・街角の年金相談センターの受付時間は、平日(月~金曜日)の午前8時30分から午後5時15分までです。
年金事務所や一部の街角の年金相談センター(一部を除く)では、土曜開所日や延長開所日も設けられています。
また、日本年金機構の「ねんきんダイヤル」でも一般的な年金相談が行われています。
年金事務所の年金相談でもらえる「制度共通年金見込額照会回答票」
年金事務所の年金相談で、年金見込額の相談をすると、「制度共通年金見込額照会回答票」というA4 横長の数枚の紙をもらうことができます。
通常は、次の二つの時点での年金見込額が記載された「制度共通年金見込額照会回答票」をもらえます。
・特別支給の老齢年金の支給開始年齢になる月の翌月
(特別支給の老齢厚生年金の年金見込額が記載されています。)
・65歳になる月の翌月
(老齢基礎年金および老齢厚生年金(報酬比例部分・経過的加算部分)が記載されています。
(注)65歳になる月の翌月の年金見込額が記載された「年金見込額照会回答票」では、老齢基礎年金は、「定額部分」と記載されています。
老齢厚生年金(経過的加算部分)は、「差額加算」と記載されています。
年金事務所で「制度共通年金見込額照会回答票」をもらう場合は、相談窓口の担当者に次の内容をわかる範囲できちんと伝える必要があります。
・いつまで厚生年金に加入して働く予定か(60歳まで?特別支給の老齢厚生年金がもらえるまで?65歳まで?)
具体的な退職予定日や、厚生年金に加入しない働き方に変わる日が決まっている場合は正確に伝えましょう。
・今後も厚生年金に加入して働く場合は、現状の報酬月額・賞与額のまま働き続けると仮定しての年金見込額試算もできます。
報酬月額や賞与額の条件を変更しての試算もできます。
繰上げや繰下げをする場合の試算もできます。
複数の見込額試算を行ってもらうこともできます。
なお、「制度共通年金見込額照会回答票」は、年金事務所の窓口で説明されたときは理解できても、後日見直したときには、意味がわからなくなってしまうケースが多いようです。
特に、厚生年金に加入して報酬月額いくら位でいつまで働くと仮定した場合の在職老齢年金の見込額試算が印字された回答票は、
試算にあたって入力してもらった前提条件を忘れてしまうと、後から見直したときに役に立ちません。
どのような前提条件を入力してもらったかもわかる画面も併せてプリントアウトしたものをもらっておくか、
前提条件を担当者に手書きで注釈を記載してもらっておくとよいでしょう。
注釈の例:60歳から63歳〇か月(201〇年〇月〇日)まで報酬月額〇〇万円・賞与なしで働いたと仮定した場合の年金見込額試算
年金請求書はいつ届きますか
特別支給の老齢厚生年金をもらえる年齢になる約3か月前に日本年金機構から「年金請求書」および請求書の書き方・添付書類などに関する説明文書が届きます。
A4版の緑色の封筒で届きますので、届いたら必ず中身を確認しましょう。
あらかじめ氏名・生年月日などが印字されていますので、誤りがないか確認しましょう。
わからないことがあれば、事前に年金事務所などに相談しましょう。
年金請求書が届いたら、注意すべきことは何ですか?
年金請求書や注意書きを読めば、年金請求手続きや添付が必要な書類はあらかた理解できると思います。
書き方や必要な添付書類についてわからないことがあれば、年金をもらえる年齢になるまでの3か月の間に、
年金事務所の年金相談で相談されることをおすすめします。
相談の際は、年金請求書の書き方が分からない箇所は空欄のままで構いません。
また、戸籍謄本、世帯全員の住民票、配偶者の課税(非課税)証明書等必要な添付書類は「まだ取り付けないで」相談してください。
なぜなら、年金請求書は、年金をもらえる年齢の約3か月前、つまり、まだ年金をもらえる年齢になっていない時点で届くからです。
年金の請求は、年金をもらえる年齢になった日(誕生日の前日)以降しか行う事ができません。
年金の請求書に添付する書類も、年金をもらえる年齢になった日(誕生日の前日)以降に取り付けたものが必要となります。
年金請求書が届いたら、まだ年金をもらえる年齢になっていないのにすぐに添付書類を揃えてしまう人がいます。
しかし、その場合、再度誕生日の前日以降に発行された添付書類を取り付ける必要があります。
二度手間になりますし、添付書類の発行費用もまたかかってしまいます。
・年金請求書が届いても、年金をもらえる年齢になる誕生日の前日以降にならないと、まだ年金請求手続きを行うことはできない。
このことにご注意下さい。
年金が全額支給停止となる人も65歳までの年金請求手続きは必ず行いましょう
65歳までの特別支給の老齢厚生年金をもらえる年齢になったら、必ず年金請求手続きを行いましょう。
(請求をしないで放置しておいても、65歳からの年金額が増えることは一切ありません。)
なお、年金をもらえる年齢になっても一定額以上の報酬額で働いていると、
在職老齢年金の規定により、年金額の全部または一部が支給停止となります。
報酬との調整で年金が支給停止となる人も、年金の請求手続きは必ず行ってください。
65歳までの特別支給の老齢厚生年金の請求手続きを行っておくと、
その後年金がもらえるような報酬設定に変わったときや退職するなどして厚生年金に加入しなくなった時には、年金が支給されるようになります。
年金の請求手続きを行わないまま、その後年金がもらえるような報酬設定に変わったときや退職するなどして厚生年金に加入しなくなっても、
自動的には年金は支給されません。
(年金の時効は5年です。もらえる権利があった年金も、時効を過ぎるともらえなくなってしまいますので、注意しましょう。)
65歳までの特別支給の老齢厚生年金の請求手続きを行った人には、
65歳になる月の初め頃、簡易なはがき形式の請求書(65歳からの老齢基礎年金・老齢厚生年金の請求書)が届きます。
(65歳までの特別支給の老齢厚生年金の請求手続きを行わないでいると、65歳になる約3か月前に、再度同様の年金請求書が送られてきます。)
日本年金機構以外にも請求が必要な人は、別途請求手続きを忘れずに
日本年金機構以外に、厚生年金基金や企業年金連合会、その他の企業年金への請求も必要な人は忘れずに請求を行いましょう。
特に、厚生年金基金や企業年金連合会からの年金については、日本年金機構への年金請求手続きを行えば、
それらからの年金も自動的にもらえるようになるものだと誤解している人もいますので、注意が必要です。
会社の定年や継続雇用制度についても確認しておく
なお、従業員が定年を迎える際には、事前に会社の定年や継続雇用制度について確認をしておく必要があります。
具体的には、次の点について確認しておくことが重要です。
(従業員に説明する会社側としても、最低限以下の内容は早めに通知しておく必要があります。)
定年を迎えるのはいつか
「60歳定年」といっても、具体的にいつをもって退職とするのかは会社によって異なります。
勤務先の就業規則の「定年」の規定をチェックするなどして、確認しておきましょう。
(就業規則における、定年の定め方の事例)
・従業員の定年は満60歳とする。
・従業員の定年は満60歳とし、60歳に達した日を含む賃金計算期間の末日をもって退職とする。
・従業員の定年は満60歳とし、60歳に達した日を含む年度の末日(3月31日)をもって退職とする。
など。
(注)「60歳に達した日」とは、法律上は、「60歳になる誕生日」の前日を指します。
ただ、「60歳に達した日」(60歳の誕生日の前日)ではなく、「60歳の誕生日」を用いて定めている会社もあると思います。
いつまで働けるのか
勤務先の定年年齢を確認する以外に、定年年齢以降どのような形で働けるのかを、就業規則・継続雇用規程等で確認しておきましょう。
・定年でいったん退職して、再雇用なのかどうか。
・再雇用の場合は、給料、勤務時間・勤務日数、雇用期間、厚生年金・雇用保険に入るかどうか、いつまで働けるのか、希望すれば65歳以降も働けるのかどうか、など。
(注)社会保険の同日得喪について
定年を迎えた従業員など60歳以上の従業員が退職後給料月額が一定額以上下がった状態で同一の事業所に一日の空白もなく継続再雇用された場合は、会社が同日付での退社・入社を届出ることによって、再雇用された月分から標準報酬月額が下がります。
(60歳定年後の再雇用契約が更新される際に給料月額が一定額以上下がる場合も同様です。)
再雇用(または再雇用契約が更新)された月の翌月分以降の年金カット額計算は、新しい標準報酬月額およびその月以前の1年間の標準賞与額÷12を用いて行われます。
会社が同日得喪手続きを行うと、従業員にとっては社会保険料が早く下がり、年金支給停止額も早く少なくなります。
会社にとっても社会保険料負担が早く下がりますので、一般的には同日得喪手続きを行う会社が多いです。
しかし、同日得喪を行うかどうかは任意ですから、会社と本人が事前に話し合って、同日得喪手続きを取るかどうかを決めるのが望ましいです。
(標準報酬月額が早く下がった後、私傷病が原因で働けなくなり、傷病手当金が支給されることとなった場合には、支給額が少なくなります。)
なお、取締役が退任して監査役になる場合や、取締役が退任して従業員となる場合でも、一定の要件を満たせば同日得喪手続きが取れます。
取締役や監査役の任期が切れて重任された場合も、形式的には会社との委任契約が終わって再委任されたこととはなりますが、実態としては会社との委任契約は続いているわけですので、同日得喪手続きは行えません。
同日得喪手続きが行えないことは、社長・役員の年金受給準備に時間がかかる理由の一つです。