健康保険・厚生年金保険

雇用契約期間と社会保険加入について 令和4年(2022年10月)以降とそれまで

(質問)雇用契約期間と社会保険加入について

令和4年10月以降も、2か月以内の期間雇用者は厚生年金保険・健康保険に加入させなくてもよいのでしょうか。

 

(回答)令和4年9月までと令和4年10月からの違い

現在でも、2か月以内の期間を定めて使用される人のうち厚生年金保険・健康保険(以下「社会保険」といいます)に加入させなくてもよい人は、一部の人に限られます。

そして、2か月以内の期間を定めて使用される人のうち社会保険に加入させなくてもよい人の要件が、令和4年10月から、次の通りさらに厳しくなります。

 

(改正前:令和4年9月30日まで)

・2か月以内の期間を定めて使用される人は、適用事業所に勤務していても、社会保険に加入できません。

・定めた期間を超え、引き続き使用されるにいたった場合は、超えたときから社会保険に加入すべきこととなります。

(改正後:令和4年10月1日から)

・2か月以内の期間を定めて使用される人であって、「その期間を超えて使用されることが見込まれない人」は、適用事業所に勤務していても、社会保険に加入できません。

・定めた期間を超え、引き続き使用されるにいたった場合は、超えたときから社会保険に加入すべきこととなります。

 

上記より、令和4年10月からは、2か月以内の期間を定めて使用される人であっても、実態として「その期間を超えて使用されることが見込まれる人」は、最初の雇用期間を含めて当初から社会保険に加入すべきこととなります。

 

2か月間の雇用契約を結んで使用される場合について、改正前・改正後の取り扱い

例えば、2か月間の雇用契約を結んで使用される場合について、改正前・改正後の取り扱いをまとめると、次の通りとなります。

 

(改正前:令和4年9月30日まで)

・最初の2か月は、社会保険に加入できません。

・2か月を超え、引き続き使用されるにいたった場合は、超えたときから社会保険に加入すべきこととなります。

 

(改正後:令和4年10月1日から)

①2か月を超えて使用されることが見込まれない人

・最初の2か月は、社会保険に加入できません。

・2か月を超え、引き続き使用されるにいたった場合は、超えたときから社会保険に加入すべきこととなります。

②2か月を超えて使用されることが見込まれる人

・最初の雇用期間を含めて当初から社会保険に加入すべきこととなります。

 

最初の雇用期間を含めて当初から社会保険に加入させる必要があることとなる場合とは

社会保険の適用除外に関する現行規定から、雇用契約期間を2か月と定めて従業員を雇用している事業所もあります。

しかし、令和4年10月からは、2か月以内の期間を定めて雇用する場合であっても、実態としてその期間を超えて使用されることが見込まれるのであれば(注)、最初の雇用期間を含めて当初から社会保険に加入させる必要があることとなります。

 

(注)実態としてその期間を超えて使用されることが見込まれる場合とは、次のいずれかに該当する場合です。

(1)就業規則、雇用契約等においてその契約が更新される旨または更新される場合がある旨が明示されている場合

(2)同一の事業所において、同様の雇用契約に基づき雇用されているものが更新等により最初の雇用契約の期間を超えて雇用された実績がある場合

(ただし、(1)(2)のいずれかに該当する場合であっても、最初の雇用期間を超えて雇用しないことを労使双方により合意しているときは、雇用契約の期間を超えることが見込まれないこととして取り扱われます)

細かな内容ですが、会社としては、次のような事態とならないように、改正内容を理解した上で雇用時の手続きに注意が必要となります。

・2か月以内の雇用契約期間を超えて使用されることが見込まれる場合に該当していたのに、雇用契約が更新されたときからしか社会保険に加入させていない人がいることが年金事務所の調査等で判明し、最初の雇用契約期間を含めて当初から(保険料徴収の時効との関係で2年)さかのぼって加入させるよう指導された。

さかのぼって加入させるべき人数が多くなると、会社がさかのぼって納めるべき社会保険料(会社負担分および被保険者負担分)の額も大きくなり、経営に影響が生じることもあるでしょう。従業員とトラブルになり、過去分の社会保険料(被保険者負担分)を本人から回収することが難しいケースも出て来るでしょう。

 

短時間労働者に対する社会保険の適用拡大と勤務期間の見込み

 

令和3年度現在、1週間の所定労働時間または1月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の3/4未満である短時間労働者のうち、以下の全ての要件を満たす人は、社会保険に加入させる必要があります。

①従業員数501人以上の企業に勤務②勤務期間の見込みが1年以上③1週間の所定労働時間が20時間以上④賃金月額が8.8万円以上⑤学生でないこと

 

①の従業員数要件は、令和4年10月からは101人以上に、令和6年10月からは51人以上に引き下げられます。

新聞報道等では①従業員数要件の引き下げがクローズアップされていますが、それ以外に、②「勤務期間の見込みが1年以上」という要件が令和4年10月から撤廃されることも重要です(フルタイムの労働者等と同様に、2か月超の雇用見込みという要件が適用されることとなります)。

 

(ポイント)

  • 令和4年10月からは、雇用契約期間2か月であっても、実態として2か月を超えて使用されることが見込まれる人は、最初の雇用期間を含めて当初から社会保険に加入すべきこととなる
  • 令和4年10月からは、短時間労働者の適用拡大における「勤務期間の見込みが1年以上」という要件も撤廃される

 

 

関連記事

  1. 健康保険・厚生年金保険

    傷病手当金・出産手当金の給付と健康保険・国民健康保険(市区町村・国民健康保険組合)

    都道府県・市区町村が運営する国民健康保険には、傷病手当金や出産手当金が…

  2. お知らせ

    「骨太の方針」2019年(令和元年)6月21日 に記載されている年金改革とは

    「経済財政運営と改革の基本方針2019について」が令和元年6月21日閣…

  3. 年金改正

    「年金制度の仕組みと考え方」と次回年金改正

    公的年金の次回財政検証結果の公表は令和6年に行われる予定です。財政…

  4. 健康保険・厚生年金保険

    2022年10月からの社会保険(厚生年金・健康保険)適用拡大特設サイトが公開されました

    2022年10月から段階的に一部のパート・アルバイトの方の社会保険(厚…

  5. 健康保険・厚生年金保険

    被用者保険(健康保険・厚生年金保険)の適用拡大スケジュール(2022年・令和2年年金改正)

    健康保険・厚生年金保険の適用拡大(健康保険・厚生年金に入れるべき人の範…

おすすめ記事

最新記事

  1. つみたてNISA 令和5年(2023年) よくある質問
  2. 個人事業主・フリーランスや小規模法人経営者が影響を受ける今後…
  3. 令和6年の次回財政検証・令和7年の次回公的年金改正に向けて、…
  4. 新設・拡充予定の雇用助成金と令和3年度会計検査院検査報告
  5. 2022年10月1日からの厚生年金保険・健康保険加入要件(2…
  1. 健康保険・厚生年金保険

    傷病手当金・出産手当金の給付と健康保険・国民健康保険(市区町村・国民健康保険組合…
  2. 60歳からの働き方

    60歳まで・年金をもらう年齢になるまでに知っておきたい・調べておきたいこと
  3. 老齢厚生年金

    年金に税金はかかりますか?(令和2年分以後・老齢年金、障害年金、遺族年金)
  4. 定年

    退職後、雇用保険から失業給付をもらうと年金はどうなるのか
  5. 企業年金

    令和6年の次回財政検証・令和7年の次回公的年金改正に向けて、議論が開始
PAGE TOP